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土屋守からのごあいさつページ
一般社団法人日本ウイスキー文化振興協会代表理事 土屋守

土屋 守 < Mamoru Tsuchiya >

ウイスキー評論家・作家

1954年新潟県佐渡生まれ。学習院大学文学部卒。週刊誌記者を経て1987年に渡英。取材で行ったスコットランドで初めてスコッチのシングルモルトと出会い、スコッチにのめり込む。帰国後はウイスキー評論家として活躍し、98年にはハイランド・ディスティラーズ社より「世界のウイスキーライター5人」の一人に選ばれる。2014年9月から2015年3月に放送されたNHK朝の連続テレビ小説「マッサン」では、ウイスキー考証として監修を務めた。 『シングルモルトスコッチ大全』、『ブレンデッドウィスキー大全』(小学館)、『竹鶴政孝とウイスキー』(東京書籍)、『ウイスキー完全バイブル』(ナツメ社)、『ビジネス教養としてのウイスキー なぜ今、高級ウイスキーが2億円で売れるのか』(KADOKAWA)、『ビジネスに効く教養としてのジャパニーズウイスキー』(祥伝社)など著書多数。近著に『完全版 シングルモルトスコッチ大全』(小学館)、『土屋守のウイスキー千夜一夜』『ジャパニーズウイスキーイヤーブック(蒸留所年鑑)』(ウイスキー文化研究所)などがある。隔月刊誌『Whisky Galore』の編集長を務める他、TWSC、ジャパニーズウイスキーの日実行委員長も務める。

ご挨拶

このたび一般社団法人日本ウイスキー文化振興協会(JWPC)を設立し、ジャパニーズウイスキーの定義の法制化を推進する運びとなりました。

「ジャパニーズウイスキー」の表示に関する製造上の基準が、日本洋酒酒造組合の内規という形で策定されたのは、2021年4月1日のこと。3年間の移行期間を経て、いよいよ今年(2024年)4月1日から本格的に施行の運びとなりました。ただ、実際にはこの基準は、組合に加盟していない事業者に対する基準ではないこと、法令ではないため罰則がなく、実効性に乏しいこと等により、ジャパニーズウイスキーの製造基準として一定の効果はあるものの、根本的な問題が解決しているとは言えない状況です。

実際に発生している問題として、まぎらわしい自称「ジャパニーズウイスキー」が国内外で販売されており、中には有名なジャパニーズウイスキーのラベルを模したものなど、消費者にとって見分けがつかない商品が少なからず店頭にならんでいること、また、まぎらわしい「メイドインジャパン」が海外で、まことしやかに「ジャパニーズウイスキー」として販売されていること等が挙げられます。

 

 

さらに、この内規がジャパニーズウイスキーの新しい定義として英語やフランス語にも翻訳され、世界のウイスキーファンが知ることとなった今、日本産ウイスキーのすべてがこの定義でつくられたものと勘違いされたとしたら、ウイスキー愛好家たちのジャパニーズウイスキーに対する評価は地に落ちることになります。その予兆はすでに表れていて、日本産ウイスキーの輸出額は、2006年以降ずっと右肩上がりで2022年には過去最高の560億円を突破したにもかかわらず、2023年は対前年比マイナス60億円の500億に落ちてしまいました。

まさにこのことも、ジャパニーズウイスキーの定義の法制化を一刻も早く実現させたいと考えている一番の理由なのです。

すでに日本独自の文化となったジャパニーズウイスキーの基準を定め、国内外に文化的独自性を示すこと、また、世界中のウイスキー愛好家、ジャパニーズウイスキーファンを失望させないために、さらには輸出を強化するために、法制化が急務と考え、日本ウイスキー文化振興協会を設立し、法制化を推進していきます。

多くの方々のご理解とご賛同をいただきたく、どうぞよろしくお願いします。

2024年7月1日

JWPC代表理事

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