
メーカー評議員のご紹介
メーカー評議員は、ジャパニーズウイスキーのつくり手の皆さまで、日本ウイスキー文化振興協会の主旨にご賛同いただき、ジャパニーズウイスキーの定義の法制化と、ジャパニーズウイスキー文化の振興のため、ご協力いただいている方々です。
※ 蒸溜所名の50音順に掲載しております
鈴木 康平

Kohei Suzuki
十山株式会社 代表取締役社長 井川 蒸溜所

静岡市の北部に24,430haと いう広大な社有林を120年以上前から保有し、森林管理を行う特種東海製紙のグループ会社「十山」(じゅうざん)が、2020年11月から標高1200メートルの南アルプスの高地でウイスキーづくりに挑戦。伝統的な製法を重んじて、製紙業で培ったモノづくりへの姿勢、そして繊細な技術をウイスキーづくりに活かす。特異な自然環境の中で長期熟成を目指し、南アルプスが溶け込んだ私たちだけにしかつくれないウイスキーを皆さんと一緒に楽しみたい。抗うことのできない大自然のなか、時間をかけてウイスキーづくりに向き合う。
井川蒸溜所

IKAWA
・所在地:
静岡県静岡市葵区田代字大春木1299-1
・オーナー企業(創業年):
十山株式会社
・創業(蒸留開始年):
2020年(2020年)
標高1200mの山中にできた
日本一高い場所にある蒸留所
大井川の最上流にあたる静岡県最北端。南アルプスの山々に囲まれた標高約1,200メートルの大自然の中にできた井川蒸溜所は、日本一標高の高い場所にある蒸留所だ。運営会社の「十山」(じゅうざん)は2020年に設立。日本有数の製紙メーカー・特種東海製紙のグループ会社で、異業種からの挑戦として話題となった。蒸留所が位置する一帯は同社の社有林となっており、広さは24,430ヘクタールに及ぶ。「十山」という社名は、その社有林の中に3,000メートル級の山が10座あることからつけられたという。日本に存在する3,000メートル級の山は数え方によって21座とも23座ともいわれるが、いずれにしてもそのうち約半分が同社の社有地にあるということだ。
近年、安価な木材が外国から輸入されるようになると、国産木材の資材価値は大きく低下。企業として森林資産を有効に活用することはできていなかった。豊富な湧水を使ったミネラルウォーターなどの事業も検討したが、製品を山から降ろすだけでも莫大なコストがかかってしまう。それならウイスキーはどうだろうという話が出たのが2012年頃だという。
その後具体的に事業が動き出したのが2018年。当時、品質保証部で製品の分析などを行っていた瀬戸所長が新事業の担い手に選ばれ、国内の蒸留所で1年以上の実地研修を積むと同時に、井川蒸溜所の建設計画がスタートした。
蒸留設備のプランニングは三宅製作所が行い、糖化槽や発酵槽、ポットスチルなどはすべて同社製。2020年10月に蒸留所が完成し、翌月から蒸留を開始した。
仕込水は、蒸留所の向かいの森にある木の根元から湧く湧水。登山者が遠回りして汲んでいくほどおいしいことで有名で、成分分析をすると驚くほど雑菌が少ない不思議な水なのだという。
1バッチ麦芽仕込み量は1トン。フルロイターのマッシュタンで、糖度14~15度、5,000リットルの麦汁を得る。ウォッシュバックは容量6,000リットルのステンレス製が4基。ディスティラリー酵母とエール酵母を併用して1基に5kgを投入し、68時間発酵する。
三宅製作所製のポットスチルは、初留・再留ともストレート型。初留器は容量6,000リットルで、5,000リットルを張り込み7時間かけて蒸留する。再留器は3,000リットルの容量に2,500リットルを張り込んで6時間の蒸留を行い、72%~61%でミドルカットする。標高が高いため、蒸留時の沸点は平地に比べて4度程度低くなるという。
樽詰めは61%。熟成には主にバーボン樽とシェリー樽を使用する。2021年からは、自社林から切り出したミズナラ、クリなどを利用して自社樽の製作も開始した。貯蔵庫は移動ラック式が1棟で約950樽を貯蔵できる。冬場はマイナス15度まで下がり乾燥も厳しく、夏場は最高気温28度で湿潤。そんな山の環境で7年以上熟成させたシングルモルトのリリースを目指し、初出荷は2028年頃を考えているという。
大森 章平

Shohei Omori
Whiskey&Co.株式会社 代表取締役 Distillery Water Dragon

2001年、株式会社ベンチャー・リンク入社。
牛角/ガリバー/タリーズコーヒー/カーブス他FCビジネス専門のコンサルティング会社。1,000店舗超の加盟店舗/500社超の加盟企業の経営コンサルティングに従事。
2010年、リノベる株式会社共同創業。中古住宅×リノベーションのマッチングプラットフォーム事業。副社長としてビジネスモデル構築と全国展開を推進。
同時期に一般社団法人熱意ある地方創生ベンチャー連合理事に就任。スタートアップ都市推進協議会(会長/福岡市・高島市長)との姉妹団体。全国60社超のベンチャー企業と地方自治体のマッチングを促進。
2021年 Whiskey&Co.株式会社創業。
2023年4月より、静岡県三島市にてバーボンスタイルウイスキー製造をスタート。
Distillery Water Dragon

WATER DRAGON
・所在地:
静岡県三島市大社町18-5
・オーナー企業(創業年):
Whiskey & Co.株式会社
・創業(蒸留開始年):
2021年(2023年)
バーボンタイプのウイスキーを造る
古民家を改装した蒸留所
静岡県三島市に築90年以上の古民家を改造してオープンしたのがWater Dragon(ウォータードラゴン)蒸溜所だ。JR三島駅から車で5分ほどの三嶋大社の参道にあり、外壁は緑青の銅板張りで、建物は県の登録有形文化財に指定されている。
創業したのは長年リノベーション会社を切り盛りしてきた大森章平氏。もともとバーボン好きだった大森氏が2020年7月から構想を練っていたところ、エシカルスピリッツ社の山口歩夢氏と知り合い、協力して蒸留所を設立することとなったという。
建物は古民家ゆえに非常に狭いが、バーボンタイプのウイスキーを造るためのクッカーやファーメンター、そしてハイブリッドスチルが、立体パズルのように収納されている。またバーボン同様、マッシュビルを決めており、比率はデントコーン67%、ライ麦20%、大麦麦芽13%である。すべて輸入穀物で、比率は仕込みの度に変えることも考えている。
クッカーや発酵槽はステンレス製で、できることはすべて地元三島でやりたいと、地元の乳製品加工用の機械を製造している企業に依頼した。スチルはドイツのホルスタイン社製のハイブリッド型で、ウイスキーだけでなくジンなどのスピリッツを造ることもできる。
蒸留所名を英語の「ウォータードラゴン」にしたのは、三島の街を流れる川の流れのイメージと、スチルの曲がりくねったアームやコラム塔の中を蒸気が上がっていく様が、天に上る龍のように思えたからだという。そのため、外壁と2階の天井にもドラゴン、龍が描かれている。
山浦 真稔

Masatoshi Yamaura
Whiskey&Co.株式会社 取締役 Distillery Water Dragon 所長

鹿児島大学大学院 理工学研究科修了 博士(理学)、J.S.A.認定ソムリエ。
鹿児島県の酒造メーカーにて研究開発部長、モルトウイスキー蒸留所の製造責任者を経て、
Whiskey & Co.株式会社の取締役に就任。Disillery Water Dragonの製造設備の設計、製造を行い、Japanese "Bourbon Whiskey" Styleに挑戦中。
Distillery Water Dragon

WATER DRAGON
・所在地:
静岡県三島市大社町18-5
・オーナー企業(創業年):
Whiskey & Co.株式会社
・創業(蒸留開始年):
2021年(2023年)
バーボンタイプのウイスキーを造る
古民家を改装した蒸留所
静岡県三島市に築90年以上の古民家を改造してオープンしたのがWater Dragon(ウォータードラゴン)蒸溜所だ。JR三島駅から車で5分ほどの三嶋大社の参道にあり、外壁は緑青の銅板張りで、建物は県の登録有形文化財に指定されている。
創業したのは長年リノベーション会社を切り盛りしてきた大森章平氏。もともとバーボン好きだった大森氏が2020年7月から構想を練っていたところ、エシカルスピリッツ社の山口歩夢氏と知り合い、協力して蒸留所を設立することとなったという。
建物は古民家ゆえに非常に狭いが、バーボンタイプのウイスキーを造るためのクッカーやファーメンター、そしてハイブリッドスチルが、立体パズルのように収納されている。またバーボン同様、マッシュビルを決めており、比率はデントコーン67%、ライ麦20%、大麦麦芽13%である。すべて輸入穀物で、比率は仕込みの度に変えることも考えている。
クッカーや発酵槽はステンレス製で、できることはすべて地元三島でやりたいと、地元の乳製品加工用の機械を製造している企業に依頼した。スチルはドイツのホルスタイン社製のハイブリッド型で、ウイスキーだけでなくジンなどのスピリッツを造ることもできる。
蒸留所名を英語の「ウォータードラゴン」にしたのは、三島の街を流れる川の流れのイメージと、スチルの曲がりくねったアームやコラム塔の中を蒸気が上がっていく様が、天に上る龍のように思えたからだという。そのため、外壁と2階の天井にもドラゴン、龍が描かれている。